小さなクリスマスプレゼント
知的障害をもつ息子が施設で迎えた初めてのクリスマス。
みんなが大きなプレゼントの袋をもらう中
息子は一番小さな袋をもらった。
大きさじゃないのはわかっているけれど
離れて暮らす寂しさと重なって
少しだけせつなくなった。
大きなぬいぐるみ、暖かそうなトレーナー。
次々と袋を開けて喜ぶ利用者さんたちの笑顔が広がる。
欲のない息子が開けた小さな袋の中からは
かっこいい腕時計が出てきた。
その瞬間、舌切雀の話を思い出して
大きさにとらわれた自分がおかしくなった。
時計なんかしない、時間の意味もよくわからない
息子にはまったく必要のないプレゼントだと
スタッフもわかっているはずだけど
年齢にふさわしいプレゼントを選んでくれたことが
親としてものすごくうれしかった。
息子は予想通り時計をチラッと見て、ニコリともせず袋に戻した。
あの時計が今どうなっているのか、まったくわからないけれど
私にとって何か大切な役を果たしてくれたように思う。
今年もまたクリスマスがやってくる…