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Q214.大学生の息子の、父親への態度が気になります

19歳で大学2年生の息子が、最近父親のことを見下すような態度を取ります。息子は芸術の分野に進んでおり、私とは趣味が似ていて会話が弾むのですが、夫は一緒に美術館に行ってもザっと観るだけで味わったりしないので、父親は自分とは違う種類だと決めつけて、一線を引いているようです。私にも「あの人はさ」と見下すようなことを言ってきます。夫は息子のことを幼いころと変わらず可愛いと思っていて、経済的援助も惜しまず、創作の世界に進んだことを誇りに思っている様子。ところが最近は、あからさまに距離をとられるので、寂しそうです。成長の過程と思ってはいるのですが、パパが大好きだった幼い日々を思い出すと私も切なくなります。仲良くなってもらうにはどんなかかわりをしたら良いでしょうか?

A:その少しの寂しさは、確かな成長の証拠です

息子さんの成長の過程と理解しつつも、愛情深いご主人への態度に、少し切なさを感じていらっしゃることが伝わってきます。お父さんとはどこか一線を引いていることを息子さんの姿を見て寂しく感じているのですね。

それはご主人と息子さんがこれまでたくさん関わりを重ねてこられた証でもあると思います。とはいえ、親子の関係も家族の距離感もその成長に伴って変化していくものです。親に対する見方は、批判すべき対象から、理解すべき対象へ、そして信頼・尊敬すべき対象へと移っていきます。今まさに、その移行期です。息子さんは父親の知らない世界へと踏み出し、自分で道を切り開こうとしているのです。外に目を向け、新しい刺激をたくさん受け、頼もしく歩んでいるところです。だからこそ、ご主人も誇らしいのでしょう。

「これだ」という世界を早くも発見した息子さん。夢中になっているから、それ以外のことに価値を見出しにくくなっているのかもしれません。けれど、これから成長を重ねるにつれて、きっと父親への見方が変わってくるはずです。その移り変わりの中で、ご主人と息子さんの橋渡しができるといいですね。

これまでを振り返りつつ、夫婦で次のステージへ進みましょう

一方で、置いてきぼりのようになっているご主人を見守るあなたは複雑な心境でしょう。かつて子どもたちと全力で遊んできた若々しいパパから、全力で夢を応援する頼もしい父親へ。これも親としての成長です。昔を思い出すと寂しくなるのは、それだけ濃密で楽しい時間を過ごしてきたからでしょう。その時間があったから息子さんは逞しく成長しています。そして、今、親であるあなたとご主人も夫婦の新たな関係に歩みだす時期なのです。家庭教育の一つの目標は「自立」です。それは子どもにだけ当てはまるものではありません。親も子離れをして自立へ向かっていくのです。自分らしく花開こうとしている息子さんを心から応援し、支え合うお父さんお母さん。とても温かい素敵なご家族だと感じます。どうぞ、宝物のような時間をご夫婦で振り返ってみてください。しっかりこれまでを味わって、抱きしめて、次に進む準備をしましょう。これからも味わい深い瞬間が、きっとあなたを待っていますよ。

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