Q165.経済的な理由で、わが子に中学受験させないのはかわいそう?
私が住む地域では、公立小学校に通う生徒の半数以上が私立中学を受験しています。地元の公立中学校が荒れていて、そこにわが子を通わせたくないからという理由が多いようです。わが家は子どもが3人いて、全員中学から私立に行かせられるような経済状況ではありません。しかし、5年生の長女は仲のいいお友達がみんな受験をするので、自分も受験するものだと思っているようです。実際、成績もよく、地元の公立に行かせるより、私立の手厚い教育環境の方が娘の可能性が広がるような気がします。
私のパートの仕事を増やしてでも、受験させてあげるべきでしょうか?上の子が私立に行けば、もし下の子が私立を希望してもそれを叶える経済力はありません。それでは下の子がかわいそうに感じます。どうしたらよいでしょうか?
A.まずは、ご主人と3人のお子さんの将来について、じっくり話をしてみてください。
お仕事をしながら3人の子育てをされ、お子さんに少しでも良い環境をと、教育について真剣に考えていらっしゃる素晴らしいお母さんですね。地域の学校の現状を聞けば心配になりますし、家の経済状況や、下のお子さんたちのことも考えると娘さんにとって何が一番いいのか悩んでしまうお気持ちもよくわかります。
ご主人はお子さんたちの教育についてどのようにお考えなのでしょうか。まずはご主人とよく話し合うことが大切です。今お母さんが悩んでいることをそのままご主人に聞いてもらいましょう。学費のこと、生活費の現状なども伝え、相談してはいかがでしょうか。ご自身のパートを増やせば行かせられるのか、それができる状況なのか、また下のお子さんたちに対する母親としての思いを伝えて話し合うことです。娘さんの受験のことを通して、ご主人の考えを知ることができ、3人のお子さんの将来のことなどもじっくり話せるよい機会です。
親子で相談しながら、与えられた環境のなかで主体性をもって生きていくことの大切さを学べるよい機会になるのではないでしょうか。
また、娘さん本人の気持ちもよく聞いてみることです。娘さんが進路についてどのように考えているのか、受験したいと言っているのであれば、その理由も聞いてみましょう。友達が受験するから私もするというだけでなく、受験したい理由を明確にしていくことが今後の生き方にもつながる大切なことです。明確な考えが言えなかったとしても「あなたは受験したいと思っているのね。」と娘さんの気持ちを否定したりせずに、そのまま受けとめてあげましょう。すぐには答えが出ないかもしれません。親子でよく相談しながら決めていくとよいでしょう。
そして、経済的にどうしても無理な状況であれば、そのことを娘さんにきちんと説明するのも大事です。これから生きていくなかで、いくらやりたいと思っても自分の思い通りにならないことはいっぱいあるでしょう。娘さんにとって、今自分に与えられた環境のなかで最善を尽くし、主体性をもって生きていくことを学べる良い機会になるはずです。その姿から下のお子さんたちも家庭の状況を感じ取り、きっとたくましく生きていくことができるでしょう。