Q174.中2の息子が万引きをしました。私の育て方が間違っていたの?
先日、中2の息子がマンガ本を万引きしたという連絡が入りました。書店員さんが言うには、何度か息子の怪しげな行動を目撃しており、要注意人物としてマークしていたと。
その日は現場をおさえられ、息子も万引きを認めました。今回は学校にも警察にも連絡はしないでいてくれましたが、次は連絡するそうです。
息子は、その場では反省の言葉を述べていましたが、家で父親を交えて話し合ったときは、ずっと黙っていました。中学に入ってから息子の口数は減り、反抗期の特徴だと思っていました。これまで特に問題行動もなく、心底驚いています。私の育て方が間違っていたのでしょうか。
A.「万引きをする」という息子さんの行為の背後に心を寄せてみてください。
大事な息子さんが万引きをしたという連絡を突然受けて、どんなに驚かれたことでしょう。心が凍り付くほどのショックだったのではないでしょうか。そして、次に万引きをしたら、ただでは済まされないと不安に思うお母さんの気持ちが伝わってきます。
「万引きをする」という息子さんの行為の背後には、どんな心があったのでしょう。「人の行動には必ず理由がある」といわれます。学校での成績や進路の悩み、友達・恋愛・家族関係の悩み、身体的な悩み、やり場のないイライラ、好奇心、または誰かに強要された等、自分ではどうすることもできないほどの複雑な理由や感情が、息子さんなりにあったのではないでしょうか。思春期は特に、理性と感情をコントロールするのがとても難しい時期でもあるのです。
混乱している息子さんの心を整理してあげられるきっかけを。
これまで問題行動がなかった息子さんは、善悪を判断する理性は身についているはずですね。「そんなあなたが、万引きをしようと思ったのには何かあったの?お母さんに教えて」と問いかけてみてください。無理に聞き出す必要はありません。息子さんが混乱している自分の心を見つめ、整理するきっかけをつくってあげればよいのです。
また、あなたは「私の育て方が間違っていたのだろうか」とご自分の子育てを振り返られています。これまでの息子さんとのふれあいで、何か気になることがおありでしょうか。もしあれば、思ったことを素直に言葉に出して伝えてみて下さい。
今回、息子さんが逃げも隠れもせず、きちんと自分の行動を認め謝罪ができたということは、社会的な態度をとれることの現れです。きっと社会のルールを逸脱すると制裁を受けるという厳しさも身に染みたことでしょう。あなたも、この一件をありのままに認め、親子の関わり方はどうだったかを振り返る機会をもらったと捉えてはいかがでしょう。お父さんを交えて三人で話し合う場をもてたことは、その第一歩ですね。
あなたの愛情は、息子さんが自分を見失いそうなときの心のブレーキとなります。
この先起こるか分からないことを必要以上に心配するよりも、まずは今、目の前にいる息子さんの心を聞き、その心に寄り添ってみましょう。その上で「何かあったらいつでも言ってね」「信じているよ」という親御さんのメッセージが伝わるといいですね。
人は皆、失敗や挫折を経験して、人として成長していくものです。大丈夫、あなたの息子さんを思う愛情は、きっとこの先、彼が自分を見失いそうな時に心のブレーキとなるでしょう。