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68.配偶者の暴力から娘を助けたい

Q.娘が配偶者から暴力を受けています。「別れなさい」と強く言ったのですが、娘は相手をかばい、「別れない」と言います。どうしたら娘を助けることができるでしょうか。

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A.夫や恋人など、親密な関係にある男性から女性が受ける暴力、「ドメスティックバイオレンス」(以下、DV)が、深刻な社会問題になっています。ご相談からは、詳しい状況が分からないので断言できませんが、娘さんもDVの被害者である可能性が高いと思われます。

そこでまず大切なことは、親自身が冷静に、娘さんの日常を良く聴いてあげ現実をしっかりと把握することです。

DVは、暴力を振るう男性が一面では、とてもやさしい態度を示したりするため、女性の側が「私が彼を怒らせたんだ」と思い込み、問題を問題ととらえない、あるいは、表面化させないことから、解決が難しいと言われています。

しかし、どのような理由があっても、人に暴力を振るう行為は許されるものではありません。このような場合、まずしなければならないことは、一刻も早く、娘さんを配偶者から引き離すことです。

それは感情で対応したのでは何も進展しないからです。

娘さんの身の安全を確保するだけでなく、一定の距離と時間をおくことで、2人の関係を客観的に見つめる機会になるからです。その際、「別れなさい」というより、「2人の幸せのために、一度、離れて物事をよく見てみることは大切よ」と投げかけるとよいでしょう。暴力を振るう夫であっても、娘さんにとっては、一生を共に過ごしたいと願った相手。その思いを汲みながらも、いざというときは、DVの危険性など、正しい情報を娘さんに伝え、「どうするかは、あなたが決めることだけれど、今の状態は決して、夫婦にとっていい関係ではないと思うよ」と、命がけで言える親の真剣さが必要です。親からの説得が難しい場合は、第三者にかかわってもらうこともよいでしょう。

そしてもう一つ、親御さんに心に留めておいてほしいことがあります。それは、ひとまず娘さんが夫と別居できたとしても、それで「一件落着」ではない、ということです。DVは、男女が別れた後も被害に遭うケースが少なくありません。それは、暴力を振るう男性が抱えた問題が解決されていないからです。

できるなら、カウンセラーなど第三者の力を借り、また、男性の親御さんと協力し合って、男性が一日も早く立ち直れるよう娘さんと一緒に祈り続けてほしいと思います。時間はかかりますが、問題を通して、双方の親御さんや娘さんが人間として成長していくことが、本当の問題解決につながっていくのです。

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