29.乱暴な息子に手を焼いています
Q.3歳の長男が乱暴で困っています。悪者や怪人を退治する子ども向けテレビの影響だと思います。私だけではなく、同居する義父母のこともけるので、ときどき叱りますが、やめません。かといって、やらせっ放しなのも疲れます。言い聞かせても通じないのですが、どうすればいいのでしょうか。
A.悪者を退治すると思った瞬間に、もうヒーローになっている。それが3歳から5歳ぐらいの幼児期に見られる特徴で、「童話的空想期」と言います。
物事に対する理解の仕方が未発達なので、お母さんが理屈を言っても伝わりません。ですから、あなたが日頃経験しているように、言い聞かせてもなかなかやめようとしません。また、怒って叱りつけても、子ども自身は納得していませんから同じことを繰り返します。
まずお母さんに必要なことは、この時期の子どもの発達段階に合わせた触れ合いです。けるのをやめさせようと躍起になるよりは、むしろ、「正義の味方は弱い者に決してそんなことはしないよ!」「お年寄りや女の人を守るのよ、それが正義の味方なんだ!」などと、「ごっこ遊び」の調子に合わせて人をけらないように伝えていくといいでしょう。子どもが「童話的空想期」であることを、積極的に生かして触れ合うのです。
お母さんが”その気”になって話すと、子どもも”その気”になります。さらに、けるのをやめたときや我慢できたときには、「さすが! やっぱり正義の味方だね」と、ほめてあげられるといいですね。
女の子の場合も同様です。普段は活発に動き回っているおてんばな女の子も、”お姫さま”になりきっているときは静かにすることができるものです。
また、子どもに見せるテレビ番組は、親が選んであげることも必要でしょう。そして、悪者退治のテレビを見るときは、「強い者は弱い者を助けるんだよ。あなたもそうよね」と触れ合うようにすれば、子どもの心が育ちます。
Point.楽しむ秘訣
幼児期の子どもには、お母さんの「情」でしつけることが大切です。この時期の童話的空想期や快苦の法則(自分にとって快いことは繰り返そう。苦しいこと嫌なことは避けようとする心理)を活用しましょう。「そんなことをしたら、ママは悲しいよ」と感情を込めて触れ合い、お母さんが「創造・工夫」をすることです。実は、その「創造・工夫」が子育ての楽しみの一つなのです。幼児期の子育ては手間ひまがかかるものです。また、かけなくてはならないものなのです。