18.娘を心配するあまり、人を疑うことも教えているような気がするのですが
Q.最近、子どもが犠牲になる事件が多く、小学2年生の娘には「知らない人に声をかけられても知らん振りするのよ」などと注意しています。先日、同じマンションの方が「お帰りなさい」と声をかけたのに知らん振りしていました。娘は言い付けを守っているのだと思いますが、人を疑うことを教えているようでむなしくなります。娘の身を守りつつ、人間同士の豊かな信頼関係を育てていくにはどうすればいいのでしょうか。
A.ほんとうに、豊かなコミュニティーのなかで子どもを育てたいですよね。それには、親同士、地域の住人同士のコミュニケーションを構築することが不可欠です。
まず最初は、母親同士の信頼関係をつくることから始めたいものです。たとえ立ち話でも、コミュニケーションを取り合い、子どもや地域の様子を情報交換することで、結束力も生まれます。たとえば、「うちの子、遊びに行ってる?」「何時ごろ帰ったわよ」と、情報を交換できれば、子どもの行動も確認できて安心です。
そして普段から、地域の住人やみどりのおばさん、工事現場の交通誘導員とも挨拶を交わすことが大切です。特に登下校の道路沿いにある商店主たちには、「子どもたちが通りますから、よろしくお願いします」と、普段から声をかけることをお勧めします。
ともかく、お母さん自身が誰とでも言葉を交わし、地域に溶け込んでいける大人になることです。このとき、子どもにそばにいてもらうことで、あなたと家族のことを知ってもらう機縁にもなります。親の姿を見て、子どもはコミュニケーションの仕方をまなんでいきます。また、子どもに声をかけてくれた方には、きちんとお礼を言って人間関係を築くといいでしょう。こうしてできた地域の人間同士の信頼関係が、犯罪を抑止する力となっていきます。
子どもが悲しい事件に巻き込まれないためには、地域のなかに、お互いの子どもをあたたかい目で見守るネットワークと環境を築かなければなりません。昨今の痛ましい事件の数々は、私たちにその必要性を教えてくれているのではないでしょうか。
そして、子どもには、日頃から「知らない人に声をかけられてもついて行ってはだめよ。登下校のときはお友だちと一緒に行動するのよ。遊びに行くときは、一度おうちに帰ってからね。お母さん、あなたに何かあったら悲しいよ」と、繰り返し言い聞かせることが大切です。低学年では言葉の意味が分からないかもしれませんが、子どもの心には「お母さんが心配しているんだ」という思いがちゃんと残るものです。そして、知らない人から誘われたときに、「ごめんなさい。用があるから」と、はっきり断る方法を教えるとともに、意思表示のできる子どもに育てることも大切です。
人と力を出し合いながら互いに子どもを守る努力を、まずはあなたから始めてみてください。わが子だけではなくほかの人の子どもも守る「社会の母」が、今求められているのです。
Point1.地域の人とのコミュニケーションを大切に
お母さん自身が地域のなかに知り合いをたくさんつくっていく。
そのためには日頃の挨拶が大切です。声をかけられるのを待つのではなく、あなた自身が積極的に声をかけていきましょう。
Point2.社会のお母さんになる
自分の子どもだけでなく、よその子どもに対しても、何かあったら守ってあげようという気持ちが大切です。まず、自分から社会のお母さんになる気持ちを持ってみましょう。