Q177.「18歳になったらクレジットカードをつくる!」と言う高校生の娘を説得したい
もうすぐ18歳になる高校生の娘がクレジットカードをつくりたいと言っています。
母としてはいろいろと心配なので、社会人になってからにしなさいと言いましたが、「親の同意は必要ないから」と聞く耳を持ちません。ポイントがたまっておトクだし、使い過ぎないような設定にするからと言っています。
どう話したら納得させられるでしょうか?
A.まずは、高校生がクレジットカードをつくれるかどうかを娘さんと確認してみましょう
2022年4月1日の法律改正で、成人年齢が18歳に引き下げになったことにより、18歳以上の人は親権者の同意を得ることなくクレジットカードをつくることができるようになりました。
でも、原則として高校生は本人名義のクレジットカードをつくることはできません(*注)。ほとんどのカード会社で「高校生は不可」という条件になっていますので、その事実を一緒に確認すれば、娘さんも納得するでしょう。
しかし、大学生になれば親の同意なくクレジットカードはつくれます。質問者さんは「クレジットカードは社会人になってから」とお考えのようなので、娘さんが高校卒業後に進学するのであれば、問題が少し先送りになるだけで、今度は説得がより難しくなりますね。
それならば、今この機会を、親子で話し合い理解し合うチャンスととらえてみてはいかがでしょう。新しい指導要綱に基づいた高校の家庭科には金融教育が含まれ、投資信託など基本的な金融商品の特徴も学ぶようです。大人の私たちよりも子どもたちの方が金融の情報に詳しくなるということもあるかもしれませんが、お金について学ぶときに大切なのは、知識や情報だけではありません。自分がお金を稼ぐことや使うことが、社会とどのようにつながっているのか、限られた家計をどうやりくりしていくのかといったことは、家庭で伝えたい大切な要素です。
子どもの話を否定せず自尊心を大切にしながら話し合うことが大切です
とはいえ、頭ごなしに親の考えを押し付けると、高校生の子どもは反発して心を閉ざしてしまいます。高校生期は、自分の考えで判断し行動したいという思いが強くなる時期。子どもの自尊心を大切にしながら話し合いましょう。
しかも、「クレジットカードを作りたい。使い過ぎない設定にする」と言ってきた娘さんは、とても自立したお子さんです。お母さんお父さんが、娘さんを自分の考えをもつ自立した高校生に育てられたのだと思います。すばらしい親子関係ですね。
だからこそ、まずは「なぜ今クレジットカードをもちたいと思ったのか」を娘さんにたずねてみてください。きっと娘さんなりの理由があるはずです。そして話してくれたら、それがどんな動機でも、否定せず「そういう考えだったのね。話してくれてありがとう」と認めてあげることが大切です。子どもの話に学ぶ心をもって話し合えば、親の願いにも聞く耳をもってくれるはずです。ご主人にも加わってもらい、親が何をどう心配しているのかを伝えられるといいですね。
親子のコミュニケーションを通して何でも話しあえる家族関係を築きましょう
今は、ネットで簡単に購入や契約ができても、返品や解約の方法がわかりにくいものや、詐欺まがいの巧妙な商法も多く存在します。本人が使いすぎに気を付けていても、なお心配事はたくさんあるということなど、具体的に説明できれば、よりお互いの理解が深まるのではないでしょうか。
親はわが子を心配するあまり、つい言って聞かせようとしてしまうものですが、変化のさなかにある今の時代、親が子どもの話を通して今の社会について学ぶことも少なくありません。親自身も自分の考え方を見直してみるきっかけになるかもしれません。
こうした親子のコミュニケーションを通して、共に学べるだけでなく、今後も何か問題が起こったときにはよく話し合うという家族関係を築くことができるでしょう。
*注 一部、条件付きで加入できるクレジットカードもあります。