41.息子のウソつきを直したい
Q.4年生の息子のウソに悩んでいます。先日もゲーム攻略本を友だちにもらったと言います。ところが、その友だちのお母さんから、息子に貸したけれど返してくれないので困っていると電話がありました。コップを割っても四歳の妹のせいにしたりと、すぐ分かるウソを言います。そのたびに「ウソはいけない」と話しますが、また繰り返します。このままだとウソつき人間になりそうで心配です。
A.もしかしたら、息子さんがウソをついていると分かったとき、詰問していませんか?「どうして、ウソばっかり言うの!」「どうせ、またウソなんでしょ!」と責めてばかりいると、子どもは自己防衛本能を働かせて、ウソを繰り返すようになります。「ウソはいけない」と叱っても、子どものウソは直らないものです。
心理学で幼児期を童話的空想期といいますが、あなたの息子さんも、幼い頃、怪獣に会いたいと思ったら「ぼく会ってきたよ」、ウルトラマンになりたいと思ったら「ぼくはウルトラマンだ」と本気で言っていませんでしたか? そのとき、親は「どうして、そんなことを言うの。ウソばっかりついて」と叱ることがありますが、子どもはウソを言おうと思って言ったのではなく、心理の成長過程として言っているのです。それを理解せずに、「ウソはいけない」と詰問していると、小学生になってもウソをつくようになります。
もし、すぐに分かるウソを言っても、「いま、ウソ言ったでしょ。ウソはいけないと言っているでしょ!」と怒らないことです。「ウソだな」と感じたら、「どうしたの?」と、子どもの心をじっくり聞いてあげてください。ウソを言うには、それなりの理由があるものです。もしかしたら、お母さんの愛情ほしさのためのウソかもしれませんよ。
この場合も、「なぜ、もらったなんてウソを言うのよ!」と叱らずに、「あなたは、もらったと思ったのかもしれないけれど、お友だちは貸したつもりだったみたいよ。あなたの勘違いじゃないの?」と、さらりと言えばいいのです。そして、友だちに「勘違いしてごめんね」と謝りながら品物を返しに行かせてください。ウソをついたことを叱られずに、許された経験を持つと、ほんとうのことも言えるようになるはずです。
子どもが一度ウソを言うと、親は「またか」と疑いの目で見てしまいます。しかし人は変わるものです。昨日はウソを言っても、今日はほんとうのことかもしれません。お母さんが「また、ウソでしょ」と言うのも、ウソつきにしたくないという親の想いなのですが、その気持ちは子どもには伝わりません。むしろ言われるたびに寂しさを感じていると思いますよ。
小学生期は善悪良否をまなぶときです。人生のまなびのときだと思って、おおらかな気持ちで子どもと向きあってください。
Point.生まれつきウソつきな子どもはいない
ウソは自分を守るためにつくもの。これまでの子どもとの触れ合いで、ウソをつかせるようなかかわりがなかったか、振り返ってください。ウソをつくには、それなりの理由があるものです。