Q164.娘をヤングケアラーにさせてしまい、不憫でなりません。どうしたらいい?
シングルマザーで、娘(中2)と息子(小1)を育てています。息子が生まれてまもなく離婚しました。当時まだ小学校低学年だった娘に、息子の子守や家事の手伝いをしてもらいながら、必死で働く日々でした。
ところが、3~4年前から私が精神的な病を患い、働けなくなり、生活保護で暮らさざるをえなくなりました。家事をするのもままならず、娘にほとんど任せています。また、経済的な苦労もさせています。
一般家庭の中2であれば、休日は友達とでかけたり、好きな服を買っておしゃれをしたい時期でしょうが、すべてがまんしてくれています。今後の進路のことなどを考えると不安で仕方ないでしょうが、私には何も相談できないのだと思います。
私は暗く寝ている姿ばかりを子どもたちに見せてしまっています。子どもたちに本当に申し訳なく、私のような母親なんていないほうがましだとさえ思います。
A.娘さんをどうにかしてあげたいというお母さんの思いが痛いほどわかります。
お一人で子どもたち二人を育てられてきて、今日までよく頑張ってこられましたね。家庭の事情で、たくさんの夢や希望をがまんさせてしまっている娘さんをどうにかしてあげたいというお母さんの思いが痛いほどわかります。
しかし、元気な時に子どもたちと協力しながら必死に働くお母さんのうしろ姿を見て育った娘さんだからこそ、今お母さんに代わって家事をやってこられているのだと思います。子どもたちは、家族を支え、助けるという経験をとおして、大きく成長するはずです。そのような子どもたちに育ったことを誇りに思い、学校から帰って来た時、体調のいい日でもかまいません、優しい笑顔で出迎え、日頃のお礼を伝えてみてください。
また、子どもたちが、家族以外の大人や、同じ境遇にある仲間と出会い、子ども自身が悩みや苦しみを分かち合える機会を与えることも必要だと思います。
勇気を出して、支援につながりましょう
子どもは自分から「助けて」とは言えません。誰に相談してよいのかも分からないし、もしかしたら、現状を他人に知られることを恥ずかしいと思っているのかもしれません。お母さん自身も、いろいろな思いから、なかなか他人に相談することが難しいのかもしれません。でも、何も恥ずかしいことでも、情けないことでもありません。あなたも子どもたちも、精一杯がんばってきたではありませんか。勇気を出して、支援につながりましょう。まずは、行政の支援や主治医の先生にご相談されてはいかがでしょうか。
子どもにとってお母さんはかけがえのない存在なのです。
お母さんが一歩踏み出すことで、子どもたちも支援につながることができるのです。
自分自身の思いを信頼できる他者に聞いてもらうことで、心が安定し、経験が自信となって人生を歩めるチャンスにもなります。家族を支えてきた子どもたちは、きっと周りで困っている方の話しを聞いてあげられる人、また自分でいま出来ることを周りにお返しをしていける人へと成長していくはずです。
お母さんがどんな状態であっても、子どもにとって、親は居てくれるだけで安心を与えてくれる、かけがえのない存在なのです。「私のような母親なんていないほうがましだ」などと思わず、社会の支援をうまく使いながら、自分と子どもたちを守っていきましょう。